2年程前からメディアで話題になり気になっていた映画「この世界の片隅に」
光テレビのチャンネルでTV初放送されたので、録画していたのをようやく視聴できたので感想を書いてみたい。
あらすじ
舞台は戦時中の広島、呉。広島で長女として生まれた「浦野すず」が主人公。嫁ぎ先の呉で悪戦苦闘しながらも、一生懸命生活していく。
感想
・この映画は資金を「クラウドファンディング」で調達した事でも話題になった映画。2000万円を目標に、最終的には約3900万円も集まった。
それでも制作に使えるお金が豊富ではない中で作られた映画だが、背景などは温かみがありながらも、精密にリアルに描かれていた。低予算映画とは思えない映像のクオリティーだった。
・これまでの戦争アニメ映画の代表作「火垂るの墓」等との違いは、戦争そのものよりもその中で生活していた庶民に焦点を当てた事だろう。
特にすずが食事を作るシーンは「本当にそんな事を当時の人はしていたのかな」と思うものが多くあった。例えば、
・たんぽぽ、すみれ、すぎな等の雑草を料理に使う
・梅干しの種をいわしと一緒に煮込む
・玄米を炒って作る謎の「楠公飯」
特に雑草類は個人的にはちょっと抵抗が強い(;^_^A 犬や猫がおしっこしているかもしれないし、そうでなくても色々な人間や動物に踏みつけられたりして不衛生そう。熱湯消毒しただけで本当に食べれるのかな?
ただ、当時の人達はこういった雑草だって食べなければいけない程、食料が不足していたことを思うと胸が痛くなるシーンでもあった。
・すずの広島弁が可愛い
声優を務めたのは、あまちゃんで有名になった「のん」のんびりしたテンポと、ちょっとこもったような感じの声で話す広島弁が、とても可愛くて良かった。
このすずの声と、周囲の人もほんわかした様子ですずに関わっている事が多い。そしてすずのキャラクターの特性もあって、前半はほとんど戦時中特有の緊迫感や、悲壮感があまり感じられない雰囲気を作り出していた。
・後半は一気に重苦しいムードへ
姪っ子の晴美と一緒にいた時、時限爆弾が発動。晴美は即死し、すずも絵を描く大切な右腕を失い重傷を負う。義姉で晴美の母親からは「人殺し」と言われ、返す言葉もない。
普通に歩いていたら、突然空から機関銃による掃射が始まりいつ死んでもおかしくないような状況。
この温かい日常と、死が隣り合わせの世界が戦時中の生活なんだと思うと正直「怖い」と感じた。大切な人や時間が一瞬で奪われる世界では生きている心地がしないのでないだろうか・・・
まとめ
これまでの戦争映画とは、違ったアプローチの映画ではあったが、戦争の怖さやそれによって起きる悲しさ等を伝えるという点では十分に見応えがあった。
全体的には明るく、前向きな映画でもある為子どもに「戦争とはどういうものか」を伝えたいときには良い作品に思える。