連日メディアで報道されているボクシング連盟、山根明会長が助成金を本来の用途と異なる使い方を選手に指示した問題。
山根明会長は他にも、権限を不当に利用して試合用グローブを特定の1社に独占販売させたり、審判に圧力をかけて試合結果を操作した疑いがかけられている。
いずれこの疑いの真偽は明らかになるとして、今回はどうしてスポーツの世界においてこのような独裁者が安易に誕生してしまうのかについて、自分なりの考えを書いてみたい。
最近のスポーツ関連の不祥事
・横綱、日馬富士の暴行問題とそれに対する相撲協会の対応
・伊調薫選手に対する栄監督のパワハラ問題と、その問題に対する志學館大学、谷岡学長の対応
・日大アメフトの悪質タックル問題と、それに対する監督、コーチ、理事長をはじめとした大学幹部の対応
そして今回の問題と現在、スポーツの世界で問題報道が相次いでいる。
しかし、これは何も最近質が悪くなったわけではなく、これまでずっと続いてきた問題が今少しずつ明るみになってきただけ。
そして、これらの問題に潜んでいる共通の問題点が「独裁者の誕生と、それによる悪行を容認している体質」にあると自分は思っている。
どうしてスポーツは独裁者が生まれるのか?
この理由は多くのスポーツが「結果至上主義」に走り過ぎているのが一番の要因と思われる。
特にプロの世界では、結果が全てといった所があり、結果が出ない選手にはお金も支払えない。逆に結果が出る選手の所にはどんどんお金が集まる。
その結果、その選手や指導者には自然と権限が集まりやすくなる。
メカニズムで言うと
「スポーツで結果を出す」→「報酬がたくさんもらえたり、有名になって協議の普及に大きな影響をもつ立場になる」→「結果が出る=その人の言う事、やる事全部正しい」→「誰も『何も言えねぇ~』状態になる」→「理事だの取締役だの役職がつく」→「組織内に人事を含む権力を手にする」→「どんどん皆が自分が不当な扱いされるのが怖くて何も言えなくなる」
の結果、独裁者が誕生してやりたい放題、違法な行為をしても周囲がもみ消しをしないと、自分達まで巻き添えを食らう為、頑張って皆で隠蔽する体制の完成というところだろうか・・・?( 一一)
どうすれば、独裁者の誕生を防ぐ事ができるのか?
この問題を解決する為に大事なのは「指導者」と「組織のガバナンス体制」を分けて考える必要があると思う。
結果を出した指導者が、組織のガバナンスに関わる重要な役職につけば、先程のメカニズムにもある「何も言えねぇ~」から独裁体制を許してしまう。
この為、指導者の指導業務に対する監査などのチェック機能が全く働かなくなってしまうのが問題。
この問題を発生させない為には、いくら優れた指導者だろうがその人物を組織のガバナンスに携わる役員などの職務につけないようにする必要がある。
こうなると、「現場の優れた第一人者の意見無しには組織運営できないよ」という意見もあると思う。
その為、指導者は組織運営面ではあくまで「オブザーバー」「アドバイザー」といった役割であくまでも権限はないが、組織運営に対して求めがあった時に助言できる程度の立場を与えるに留めるのが良いのではないだろうか?
また、いくら過去に優れた実績があり、有能な指導者であっても不正があれば容赦なく規則に沿ってペナルティを課し、それでも改善が見込めない場合は毅然とした態度で「辞めてもらう」ことが重要。
今回の一連のスポーツ関連の騒動で、有能な指導者だったとしても独裁を許した地点で組織に大きなリスクが生じる事が多くの人に理解されたと思う。
結果として、そのような指導者には早急に辞めてもらったほうが利益が大きい。この事を理解して、多くのスポーツ組織が健全な運営にシフトチェンジしてもらえる事を期待したい。