最近WOWOWで録画しておいた「LOGAN」を観た。
ウルヴァリンの最期、つまりヒュージャックマンが17年も演じた最期の作品ということになる。
あらすじ
年老いたローガンは治癒能力も低下し、自暴自棄な生活でアル中のような状態。格好もボロボロで、仕事はリムジン送迎運転手をする事でなんとか食いつないでいる。
シェルターのような閉鎖的な暗い家であの「プロフェッサーX」ことチャールズの介護もしている。
そんな中、ローガンと同じ能力を持った少女をかくまってくれと依頼。すると武装集団が襲ってきて、ローガンはこの少女を守ろうと最期の戦いへ・・・
見どころ
・老いたチャールズの恐怖
チャールズは認知症(アルツハイマー)のようで、その影響なのか薬を飲まないと能力が暴走し、周囲の人間の動きと呼吸を止めてしまう。それでもなんとかローガンだけが暴走しても動けるようで、その都度どうにか暴走を止めてくれる(~_~;)
このシーンから、力のある者は自分が高齢で何もできなくなる前に力を正しく制御する準備をしなければいけないと感じた。例えば会社の社長などの場合も、歳をとりすぎて不適切な判断で経営に悪影響を及ぼす前に、事業継承をしておく等だろうか・・・?
・ローガンのクローン
今作はローガンの遺伝子操作でできたクローンが登場。
1人は少女の「ローラ」
もう1人は若い時のローガンの肉体をもつ「X-24」
ローラを娘のように感じ出し、今回はこのローラを必死に守ろうと戦う。最期にローラが「ダディ・・・」と言った後ローガン「そうか、こんな感じなのか・・・」と力尽きる。戦いばかりの人生の最期の瞬間に、家族愛を感じる瞬間でこの映画の泣き所ではないだろうか(T_T)
もう一人のX-24はまさに戦いに明け暮れ、戦闘能力ピークな頃のローガン。当時は気付かなかったかもしれないが、これほど他人から観ると自分は凶悪な存在だったのか?過去の自分と向き合う瞬間に思えた。
まとめ
今回はこれまでのシリーズとはコンセプトが大きく異なる。ローガン自らが映画の中で「コミックのヒーローは現実にはいない」と言った。おそらくこれこそが、この映画で一番伝えたいメッセージなのだろう。
ヒーローと呼ばれた存在も年をとって衰えれば、端から見れば惨めに見える。格好も悪くなり、泥臭く辛い事もいっぱいしないといけない。それでも懸命に、なんとか今日をやり過ごす。それは過去のヒーローも一緒なのだと教えてくれた。
また今回はR指定を行い残酷描写を解禁した事も革新的な試み。「正義のヒーローが悪を倒す」この分かりやすさは子どもに魅力的で、そういった映画やアニメでは戦っても全く血も流れないので、ある意味暴力を肯定的にとらえやすい。
しかし、この映画では生々しいほどに多量の血が流れるし、顔を爪で串刺しにされる様はあまりにも残酷で、暴力の怖さを分かりやすく示している。
例えどんな正義や理由があろうが暴力は一度振るって相手を傷つければ、自分や周囲の人達だって傷つく事もある。仮に暴力で相手に勝っても、後に残る物は後悔や罪悪感だけ。
この事から「暴力では何も解決しない」というメッセージにもなっている。その為どちらかと言うと子ども向けのヒーロー映画というよりは、X-MENを通してヒューマニズムを表現した映画といえそうだ。
ローガンは人が生きていくうえで何が大事なのか、自らの命を張って自分達に教えてくれた。正にウルヴァリンの最期にふさわしい作品であった