2018ローマ大会準々決勝 対ジョコビッチ
6-2 1-6 3-6 で 錦織圭敗退(/ω\)
1stセット
第1リターンゲームからいきなりブレークを奪う、ロケットスタート。
スロースターターの印象が強い錦織としては、珍しい入り方。それだけこの試合への意気込みが伝わってくる。
キープが続いて迎えた第5リターンゲームもデュースまでもつれ込み、ブレークポイントを1発で仕留める。 4-1
第8ゲーム。サービング・フォア・ザ・セットの場面。ここでダブルフォルトなどもあって30-40とブレークされそうなピンチを迎えるが、集中してしっかりセーブ。最後は良い1stサーブを2本連続で決め、しっかりセット奪取。6-2
非常に高い集中力で試合をしているのを感じた。
課題のサーブスタッツ。1stサーブの確率が77%。ポイント率が70%。2ndサーブのポイント率67%と好調
2ndセット
またまた第1リターンゲームからリターンエースなどもあって40-30とブレークチャンス。しかし、そこは流石のジョコビッチ。ここでズルズルと相手に流れを渡さず、セーブし40-Adとジョコビッチのゲームポイント。
ここで、錦織のショットがアウトなのに「入っている」と自ら認めリプレイザポイント。結局ジョコビッチが取り0-1
ジョコビッチは錦織とクレーでやる時はよくこういう紳士的な振る舞いをする。
ただ、自分は少し違った見方をしている。ジョコビッチは「戦術的」にやっている面もあると考えている。
一つに、こういう事をされると自分が同じようなアウトなのかインなのか微妙なジャッジになった時に審判に喰らいつく。それを観た選手がさっきの借りがあるので「インでいいよ」と言いやすくなる。
そして、その振る舞いをする場面の選択。ここは確かにさっさとキープしたい場面なので、わざわざ相手に有利なジャッジをあげたくはない。しかし状況的に「絶対あげれない」程ではないので、やるならこの場面だったとも言える。
第2サービスゲーム。エアKが飛び出すなど躍動感もあったが、それ以上にジョコビッチがカウンターを走りながら、鋭いバックのダウンザラインに決めるなどのスーパーショットが飛び出し15-40とブレークのピンチ。一本はセーブするも、ここで先にブレークを許してしまう。
しかし、直後の第3リターンゲーム。すぐに40-30とブレークポイントを握るが、ここを取り切れずキープを許して0-3
第4サービスゲーム。ダブルフォルトなどもあって連続でブレークを許す。0-4
第5リターンゲーム。錦織もジョコビッチの1stサーブをリターンエースにしたり、相手のダブルフォルトもあってデュースまで粘る。そこで、またジョコビッチのダブルフォルトでブレークポイントを握る。ここを一発で仕留め、ブレークに成功し1-4
このゲーム。ジョコビッチが錦織のリターンにかなりプレッシャーを受けていたのが分かった。
しかし直後の第6サービスゲームをキープできずにブレークされる。1-5
第7ゲーム、ジョコビッチのサービング・フォア・ザ・セット。このゲームは錦織は完全に流し、ファイナルセットへ懸ける。セットダウンで1-6
このセット、1-6と数字だけ見れば圧倒されている感じだが、実際の試合は紙一重で錦織が取って勝っていてもおかしくなかった。
ただ、このセットから明らかにジョコビッチの集中力が増し、得意のカウンターショットがどんどん鋭くなってきて、攻撃するとかえって不利になる嫌な展開になっていた。
サーブのスタッツも1stサーブの確率が59%、ポイント率40%、2ndサーブのポイント率14%と好調だった1stセットと違って、もの凄くダウンしているのもセットを落とした要因。
ただこれは、錦織が集中を落としたというよりは、ジョコビッチのリターンが良くなってきて、サーブでのポイントが難しくなってきていたからだと思う。
ファイナルセット
立ち上がりは互いにキープで1-1
しかし、第2リターンゲーム。0-40の場面でジョコビッチのサーブがフォルト。ここで主審もフォルトと言っているのに、ジョコビッチが「入っている」としつこく訴え続ける。それを見た錦織が「インでいいよ」と認めて結局ゲームキープとなった。
これが、2ndセットでジョコビッチが作った「貸し」の効果が出た場面。ジョコビッチはリプレイザポイントだったのに、錦織の場合はダイレクトにポイントが認められた為、ちょっと取引としては損した感じはある。
ただ、錦織も早めに2ndセットの借りは返しておきたかったと考えれば、このゲームは0-40になった段階で流し気味に捉えていた。それならこのポイントは「最初っからあげるつもりだったからちょうど良かった」とも思える。
テニス選手は、自分達観ているだけの人間には分からない所で色々駆け引きをしているので、ここもそのような駆け引きがあったのではないだろうか?
第3サービスゲームで、錦織がネット間際にポトリと落ちた高いロブ。グランドスマッシュで決めるだけのシーンでまさかのミスで0-40とトリプルブレークポイントのピンチを招いてしまう。
マドリードでジョコビッチも似たようなイージーなスマッシュミスがあった。この辺りはまだ、この二人が全盛期に完全に戻り切れていない所なのかもしれない。
バックのダウンザラインで1本セーブするも、ブレークを許す。1-2
直後の第4リターンゲーム。ここで相手のダブルフォルトでデュースに追いつく。直後のブレークポイントを握り、一発ブレークで即ブレークバックに成功。
そして、第5サービスゲーム。デュースまでもつれ込みながらも、ブレークチャンスは与えずしっかりキープし、3-2。試合をイーブンに戻す。
そして第6ゲーム。最終的にはこのゲームがこの試合のターニングポイントになった。
デュースまでもつれ込み、ブレークポイントを握る。ここでラリー戦から先に仕掛けたのは錦織。バックのダウンザラインを狙うもこれがミスになり結局キープされてしまう。3-3
もしこのショットが決まっていれば・・・。仮に決まっていても分からないが、勝っていた可能性は高い。それ程重要なゲームであり、ポイントであった。
この直後は、錦織も少し気落ちしたのか結局ゲームを取ることができずそのまま3-6で試合終了。
ジョコビッチ
全盛期ほどではないが、堅いディフェンス。そして、ちょっとでも甘くコーナーに入ると非常に鋭いカウンターで逆襲。かといって、攻めなければ先に攻められて結局ダメという「ジョコワールド」が徐々に戻ってきている。
しかし、ジョコビッチはなんで錦織の時だけこんな強いんだ?なんかズルい・・・(;^ω^)
錦織圭
試合全般を通して高い集中力で挑めていた。しかし、ジョコビッチから受けるプレッシャーからか、ミスがまとまって出てしまう場面もあったり、イージーなミスでピンチになる場面等、全仏にむけて修正・改善できる部分はあると思う。
ただ、体調の不安もないし、テニス自体の調子は全く問題ない。メンタルも「誰とやっても勝てそう」と言っているように自信が戻ってきているのが好材料。
総評
この試合は世界ランク18位(ジョコビッチ)と24位(錦織圭)の試合だが、レベル的にはトップ10同士の超ハイレベルな試合で、負けはしたが非常にエキサイティングな試合だった。
お互いに頭脳派でフォア・バック共にストロークが強い。屈指のリターンの名手。そしてバックのダウンザラインやドロップショットを得意とする等実は非常にテニスが似ている二人。
錦織も絶好調時にはメディアから「まるでジョコビッチのようだった」と言われることもあった。
そんな二人が久しぶりに互いにいい状態でぶつかり合った。お互いに簡単にキープができず、頻繁にブレークポイントが生じるスリリングな試合。しかし、わずかな差で今回はジョコビッチに軍配を譲ることになった。
「ジョコビッチチャレンジ」もこれで12連敗。しかし、本当にもうちょっとで勝てる所まで来ている。今回破れなかった壁は是非、来週からの全仏で返してもらいたい。錦織なら絶対にこのチャレンジを成功させられると思う(*^-^*)