貴ノ岩が付き人に暴行 日馬富士事件の被害者が加害者に!! その原因を考えてみる

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驚きのニュースが入ってきた。

横綱の日馬富士事件の被害者として、去年年末~今年にかけて話題になっていた「貴ノ岩」

被害者として擁護する声も多かったが、一転暴行の加害者になった。

 

概要

巡業先のホテルに宿泊していた貴ノ岩。12月4日夜、付き人で弟弟子の貴大将が「忘れ物の言い訳をした」事を理由に、顔面を素手で平手や拳で4・5発殴った。

貴大将は病院で診察。大きな異常はないものの、頬が腫れあがっており、全治は不明。

貴ノ岩は師匠の千賀の浦親方にに事実を報告。その後日本相撲協会、鏡山危機管理部長に事情説明し謝罪。

日本相撲協会は10月25日「いかなる目的の暴力も許さない」と、八角理事長自らが「暴力決別宣言」を発表したばかりだった。

 

なぜこんな事が起きたのか?

これには大きく2つの要因がある。一つは「貴ノ岩」本人に関する事。

もう一つは「相撲界そのものの体質」

原因① 貴ノ岩自身の問題

全く擁護するつもりはないが、感情的な部分は一旦排除して考えてみる。

仮定として、貴ノ岩自身が大きなストレスを抱えていた事が、今回の事件の原因であるとするなら幾つか考えられることがある。

・去年年末から起きた「日馬富士事件」 

これによるケガで休場を余儀なくされた。そして番付けの降格と、それに伴う給料の減少。

さらに、日本でもモンゴルでもヒーロー的存在である横綱を引退に追い込んだという、周囲のバッシングなどによる精神的なストレスが考えられる。

・「日馬富士事件」の提訴取り下げ

この傷害事件に対して、貴ノ岩側は損害賠償約2400万円を請求。日馬富士側は50万円程度が相当だと両者の考えに相当な開きがあり、裁判の行方が注目されていた。

しかし、結果として貴ノ岩が提訴取り下げで決着。その理由として貴ノ岩とその家族にに対するモンゴル国内での強烈なバッシングがあった。

例として「自分が悪いくせに、被害者ぶって大先輩から不当に大金を奪おうとしている」

このようなニュアンスのバッシングが相当あったらしい。

・貴乃花の相撲界引退。それに伴う部屋の変更

師匠であり、日本においては父親のように慕っていた貴乃花。

その貴乃花は日馬富士事件までは相撲協会の理事であり、将来理事長になる可能性も高かった程著名な人物。

そんな貴乃花が自分の事件をきっかけに、結果として立場が悪くなり理事から一気に年寄りまで降格。さらに引退と離婚。これが「自分のせいで、こんな風になってしまった」と思っても不思議ではない。

さらに、部屋の移動。これ自体が相当なストレスだろう。

分かりやすく言ってしまえば「会社が潰れたから、明日から別の会社で働いてくれ」と言われているようなもの。

加えて住む所まで変わってしまい、その部屋のルールや雰囲気に慣れないといけないのだから想像しただけでもしんどい事が分かる。

・弟弟子の貴景勝の九州場所優勝

同じ部屋で弟弟子の貴景勝の優勝。ちなみにこの場所は貴ノ岩は負け越しており、全く正反対の結果になった。

普通に考えれば祝福すべきところだが、後輩に先をいかれた「悔しさ」

一流のアスリートはその悔しさをポシティブに自分の中で捉え、よりストイックな努力をするが、貴ノ岩は単なる「嫉妬」になってしまった可能性がある。

 

ざっと挙げただけでもこれだけあり、この1年大きなストレスの中でやってきたことは分かる。

そして、暴力がいけない事は他の力士よりも理解していたはずの貴ノ岩。それなのに、こんな事が起きた原因に本人だけでなくもう一つの原因がある

 

 

原因② 暴力による支配と、怒りの感情コントロールができない力士達

今回暴力に走った理由は端的に言うなら

「俺の指導に言い訳したから」

これである。つまり「下の人間は、上の人間から言われる事は絶対服従で、どんな理不尽な事を言われても何も言わず「はい」というべき」という考えが根本にあるからこんな事が起きてしまう。

これはアスリートなど体育会系に多い考えだが、日本のブラック企業にもこの考えが未だに染みついており、それがトラブルの原因にもなっている。

本来何かしらのミスなり、不利益な事が生じた時は「どうしてそれが起きたのか?」「どうすればその問題を回避することができたのか」「これから、予防していくためにどうしていくか」を関係者間で真剣に議論して、互いにある程度納得した上で結論を出すのが一般的なやり方や考えではないだろうか。

その中で、自分の非をしっかり認められない人には、時に厳しく接する事が必要にもなるだろう。

しかし、そこで暴力を振るってしまえば、例え指導者側がそれまでに非がなかったとしても一転

「指導も含めて、全て悪」

こうなってしまうである。

何故暴力に走るのか?それは暴力が先述したようなやり方より一見すると「簡単で手っ取り早い」から。

暴力を振るわれた相手は、その恐怖ですぐに相手に従う。しかしそこに信頼関係はない。あるのは

「支配するものと、されるもの」の関係だけ。

そして、支配される方が少しずつ怒りや憎しみを積み上げていき、最後には大きなトラブルに発展する非常に危険なやり方で、メリットなどない。

 

相撲界の力士たちも、若い頃からこうした暴力での指導をされてきた。

「暴力の連鎖性の力」は強い。だから暴力がいけない事が分かっているだけでは簡単に抜け出せない闇の深さがある。

そして、暴力を振るった時ほぼ100%「怒り」の感情が指導者にある。

その感情をコントロールできなくて、弱い立場の人間に暴力を振るってしまっている。

つまり、今相撲協会の力士たちに必要なのはアンガーマネジメントのような「怒り」の感情への向き合い方とコントロールを学ぶ事である。

これからは体力を鍛えるだけでなく、心もしっかり鍛える時間が今求められているのではないだろうか?

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