日本アニメ映画の歴史に名を刻んだ 「君の名は」 新海誠監督が伝えたかった事を考えてみる

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今さらではあるが、大ブレイクした「君の名は」について、まだ記事を書いていなかったので書いてみようと思う。

10代の男女が入れ替わるだけでなく、「都会と田舎」「3年の時間のずれ」等の要素が複雑に絡みながら、お互いが惹かれていく恋愛を中心としたストーリー。

ただそれだけで終わらず、新海誠監督は視聴者に様々なメッセージを含めた作品にした事で若い世代だけでなく、様々な年代の人が見ても「面白い」と感じた事がこの大ヒットに繋がったと思われる。

記録としては日本映画の歴代興行収入ランキング2位の250.3億円(2017年7月地点) 国内だけの興行収入1位は「千と千尋の神隠し」だが、世界興行収入なら千と千尋の神隠しを抜いており、日本映画としては歴代1位の記録を打ち立てた、まさに「モンスター映画」と呼ぶに相応しい物になった!(^^)!

 

良かった点

①アニメーションがキレイ

新海誠監督の売りの一つになっているのがこのアニメーションの美麗さ。前作の「言の葉の庭」もそれが大きな売りとなっていたが、今作も健在!彗星が空を流れるシーンや、日常の何気ない風景まで、観ていて引き込まれるものがある。

②RADWIMPSの「前前前世」が、映画の内容とマッチしていて更に盛り上がる

「君の前前前世から僕は君を探し始めたよ~♪」瀧の三葉への想いをストレートに歌ったような歌詞とメロディー。映画を観終わった後に聴くと、また切ないような気持ちが押し寄せてくる良い曲だ(^^♪

 

ちょっと気になった点

三葉の相手が瀧である必然性が弱い

自分はこの映画の多くを肯定的に捉えているが、この点だけは少し気になった。

三葉の一族は昔から女性しか生まれない家系で、これまでも何人も入れ替わりを経験してきた事が映画で描かれている。では、その相手が何故瀧である必要があったのか?この点が弱いと感じた。

ここからは、自分の勝手な妄想設定(笑)だが、入れ替わりには宮水家と対をなす一族で、なおかつ性別は男、年齢は同年代(±3歳までOK)、さらにお互い強い恋愛感情を持つ両想い状態になることで、初めて「過去に戻って不都合な事実を変える」という普通ではあり得ない事が可能になる。

まあ、こんな感じで入れ替わりの相手が瀧である必然性が、誰が観ても分かりやすく設定されていると良かったなとは思う。

 

「君の名は」のメッセージとは

これは、人によって様々なメッセージを読み取られているし、新海誠監督自身も複数のメッセージをこの映画に散りばめられていると思う。

その中で自分が一番強く感じたのは「知ってるけど、知らない相手への想い」

これには2つのパターンがあると考えており、それは

①TVやネット等で存在を知ってはいるが、自分自身は面識がない相手

②面識もあり、良く知っている相手(家族や友人、恋人や夫婦等)なのだが、実は自分は相手の事をあまり知れていない。

①に関しては、芸能人などの有名人の他にも、災害に合った人達なども含まれる。そして、今はSNS等でそういった人達に簡単に自分の想いや考えを伝える事ができる。それは良い面も悪い面もあり、知らないだけに度を過ぎた批判や、言葉を相手にぶつけてしまうこともある。

②は人間関係の根本的なところにもなるが、実はどれ程付き合いが長く、親しい相手でも、相手の事を100%知ることはできないという事。これを理解せず、「どうしてこんな事をするんだ。あなたはそんな人間ではないはず」と考えると、なんだか裏切られたような気持になって、相手の事が嫌いになってしまうこともある。

この人との繋がりを示すのが、この映画でも出てきた「組紐」である。

組紐を切るのも、解くのも簡単だが、結ぶのはとても根気がいる。恐らく新海誠監督は組紐を人との繋がりにかけて「知らない、分からない相手だからといって簡単に相手との関係を切らないで。完全に分かりあえなくてもいい。少しずつ、根気よく、相手との絆の紐を結んでいきませんか」

コミュニケーションの手段が多様になった結果、人間関係も複雑になってきた現代の、多くの生き辛さを抱えている人達に、一つのメッセージを示したのではないだろうか。

 

新海誠監督は、この歴史的ヒット作の次に、どのような作品を作ってくれるのか。気が早いかもしれないが、次回作も発表されたら絶対観たいと思う(≧▽≦)

 

 

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